うさぶた伯爵SS
月光のうさぶた伯爵(2)
なんと机に影を落としたガラスの気泡はひかりちゃんの顔を描いていたのだ。
「ふふっ」
先日伯爵が草刈りに行った際もひかりちゃんの顔をどこかで見た気がしていた。
「光の王国のみんなに好かれているんだな」
伯爵はひかりちゃんの事を思い出す。
いつもどこか間の抜けた人物であるが、悪い奴ではなさそうだとは思っていた。
「口開いてるけどな」
そこはちゃんとツッコんでおいた。
「ムム!ちょっと散歩しよう」
伯爵は、だしぬけに窓の外に声をかけた。
窓の外、それも上の方からみしみしと家がきしむ音がする。
そして、あくびをする時間くらい待ったところでそいつは現れた。
「むむ~!!!」
そう叫んだのは草原色のドラゴンだった。図体のわりに小さい羽根を羽ばたかせて伯爵が佇む窓辺に顔を近づけている。
「よし行くぞー!」
「むむ~!」
とてもうれしそうにドラゴンが返事をした。